私は『暇と退屈の倫理学』というタイトルに強く惹かれました。
私はこれまで、日々の生活の中で漠然とした違和感を抱えていました。
「忙しい、時間がない」と感じる一方で、どこか退屈でもある。
そんな感情です。
けれど私は、その感情に向き合わず、無意識に目をそらしていたのだと思います。
本書は、そんな曖昧だった感情を「暇」と「退屈」という言葉で丁寧に分析してくれました。
読み進める中で、「まさにこれだ」と腑に落ちる瞬間が何度もありました。
哲学書なのに、驚くほど読みやすい
本書は哲学の本です。
多くの哲学者の考え方が引用され、議論が展開されていきます。
私は哲学に詳しいわけではなく、大学受験の倫理で少し触れた程度でした。
それでも最後まで楽しく読めたのは、難しい話を身近な例で丁寧に説明してくれるからです。
もちろん、やや堅く感じる部分もあります。
ですが、そのたびに具体例を交えて解説してくれるので、「何を言いたいのか分からない」と置いていかれることはありませんでした。
そして何より、この本をきっかけに倫理学や哲学そのものに興味を持てたことが、私にとって大きな収穫でした。
高校生の頃は、倫理をただの暗記科目としてしか見られていませんでした。
もし当時、この面白さに気づけていたら、もっと違った学び方ができていたかもしれません。
「暇なのに退屈」という感覚
現代は、昔に比べて自由な時間が増えています。
週休一日が当たり前だった時代と比べれば、私たちは確実に「暇」を手に入れました。
人類が生産性を高めてきた結果です。
しかし、その増えた時間を、本当に自分がやりたいことに使えているでしょうか。
暇はある。
でも、これといって熱中することがない。
だから、とりあえず
スマホを触る。
動画を見る。
もちろん、それで心から楽しいと思えれば問題ありません。
ですが、どこか満たされない感覚を抱いたことはないでしょうか。
それが、本書のいう「退屈」なのだと思います。
本来、人を豊かにするはずだった暇な時間が、逆に人を苦しめる。
それはとても皮肉なことだと感じました。
私は「忙しさ」で退屈から逃げていた
本書を読みながら、私は自分の学生時代を思い出しました。
大学生の頃、私はとにかく予定を詰め込んでいました。
講義の空き時間にはアルバイトを入れ、空いた時間は勉強をし、それでも時間があれば友人と遊ぶ予定を入れる。
「何もすることがない時間」を作りたくなかったのです。
高校時代も同じでした。
部活と勉強で毎日を埋め尽くしていました。
当時は、「充実した生活を送っている」と思っていましたし、今でもその時間を後悔しているわけではありません。
ただ、この本を読んで気づきました。
私は「退屈」を避けるために、自分を忙しくしていたのではないか、と。
勉強が目的ではなく、「退屈しないこと」が目的になっていた
この感覚は、受験勉強の頃に特に強かった気がします。
私は本気で志望大学を目指していました。
だから勉強を頑張れたのも事実です。
しかし一方で、「勉強していない時間」に強い不安を感じていました。
テレビを見ない。
SNSをしない。
遊びにも行かない。
休み時間ですら単語帳を開いていました。
今振り返ると、勉強そのものより、「何もしていない状態」が怖かったのだと思います。
つまり、退屈から逃げるために勉強していた部分があった。
本来は目的を達成するための勉強だったはずなのに、いつの間にか「忙しくあり続けること」が目的にすり替わっていたのです。
そしてそれは、資格勉強や仕事にも起こり得ることだと思います。
「役に立ちそうだから、とりあえずやる」
もちろん悪いことではありません。
ですが、退屈を埋めるためだけに何かを続けていると、人は簡単に“何かの奴隷”になってしまうのかもしれません。
この本を読んで、これから意識したいこと
本書を読んで、私はこれから次のことを大切にしたいと思いました。
退屈を悪者にしない
人は退屈するものです。
そして、退屈そのものは悪ではない。
無理に予定を詰め込まず、「何もしない時間」と向き合うことも必要なのだと思いました。
理解することにたっぷり時間をかける
本を読むときも、勉強をするときも、知識を増やすことだけに執着しない。
「なぜそう考えるのか」をゆっくり理解する時間を大切にしたいです。
心から豊かに感じられることに時間を使う
心から行きたい場所へ行く。
読みたい本を迷わず買う。
そして、そうした“暇つぶしではない時間”に、贅沢に時間を使いたいと思いました。
おわりに
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
正直、この感想が本書の内容を的確に捉えられているかは分かりません。
ですが、これは間違いなく、私自身がこの本を読んで感じた本音です。
『暇と退屈の倫理学』は、「どう生きるか」を考えさせてくれる本でした。
そして、その答えは人それぞれ違っていていい。
だからこそ面白いのだと思います。
もし今、「忙しいのに、どこか満たされない」と感じている人がいたら、ぜひ一度読んでみてほしい一冊です。


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