この本を一言で表すと「お金にまつわる人生の教訓を教えてくれる本」です。
もうかれこれ1~2年くらい、本屋に行くと必ず目に入る本で、多くの書店で平積みにされたり、売れ筋ランキングなどのトップに食い込んできているので、見たことがある人も多いのではないでしょうか。
読む前は、節約の方法について書かれている本なのかなと勝手に予想していました。お金の事には非常に関心があるので、読んで見たいなとずっと思っていたので、今回とうとう手にとってみましたが、いい意味で予想を覆される本でした。
「三千円はこのように使いなさい」というようなメッセージがあるのかと思いきや、「三千円の使い方で人生は決まる。でもその価値観は十人十色で何が正解かという話ではない」というメッセージでした。(※主観的な感想です)
お金の使い方は人それぞれの価値観です。だからこそこの価値観が合うかどうかで、人間関係にも大きく影響するものだと思います。恋愛などにおいても、この価値観が合うかどうかで惹かれたり離れたりという経験がある人も多いのではないでしょうか。この本はそんな人生のあるあるが書かれた物語です。
中でもすごく共感したのは、物語に登場する20代の女性の友人との会話のシーンです。
彼女は23歳で結婚して仕事を辞めました。専業主婦で夫の稼ぎが多いわけではないが、とても幸せな生活を送っています。29歳になったある日、久しぶりに会った友人が結婚すると話を聞き、どうやらその相手が裕福な家族だそうです。とても大きなダイヤの指輪を目の当たりにし、高層マンションまで買ってそこで暮らすのだそうで、ついつい自分の生活と比べてしまいます。しまいには、友人達に23歳の若さで仕事を辞めて結婚するのは勇気がすごいねと言われてしまうのです。悪気があって言ったことじゃないと分かっていても、どうしても「あの選択は正しかったのか」と考えさせられるのです。「もっといい相手がいたのではないか」と考えてしまうのです。
何に幸せを感じるかは人それぞれです。登場人物の女性は贅沢な暮らしとは言えなくても、確かに幸せな生活を送っていました。それでも他人(友人ですがあえて他人と言います)の価値観に触れた時にどうしても自分と比べてしまいます。そんなことで、幸せな生活が壊れるきっかけになってしまうのは、本当に悲しいことだなと思います。
しかし悲しいことに、実際にもとてもあり得る事だなと感じます。
現代の社会では、インスタグラムのようなソーシャルメディアが浸透したことでますますこのような事例が増えてくるように感じます。
結婚を報告する投稿、誕生日に彼氏彼女からもらったプレゼント、高価なブランド品、豪華な食事。知らなくていい他人のプライベートを意識せずとも覗いてしまう。そして自分の彼氏彼女にそれ以上の期待をしてしまう。期待を下回ったときはパートナーに怒りを覚え、期待を上回ったときはそれをSNSに投稿し優越感に浸る。他人と比べることで幸せは何一つ生まれないのだと改めて考えさせられます。
私は20代のど真ん中を生きています。この世代は中学~高校くらいの年代でSNSを始めている人が多く、私も含めて多くの人が全く会ってもいない昔の友達まで幅広くSNSで繋がっています。疎遠になるよりいいと思う気持ちも分かる一方で、幸せな生活を邪魔しているなと感じます。
昔の友人が今何していようが、どんな豪華な食事をしていようが、どんなデートをしていようが、私達自身の人生に関係ない。
そんなことより今自分の近くにいてくれる家族、友人、会社の方と、面と向かって話したり遊んだりする方がよっぽど人生を充実させてくれると思うのです。
他人は他人、自分は自分
他人と自分の人生を比べる事なかれ
この本を読んで、そんな教訓を得ることができました。
他にも父母や祖父母の世代についても人生のあるあるが書かれていて、とても思慮深い一冊でした。
「この本は死ぬまで本棚の片隅に置いておき、自分を見失うたびに再び手に取る。そういった価値のある本です。」垣谷美雨さん(作家)
まさに人生のあらゆるステージで読みたい本です。周りに振り回されそうなとき、自分の人生を取り戻すために再び手に取りたいと思います。
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